M&Aの専門家が選ぶ!デューデリジェンスに本当に役立つ資格と講座
M&Aにおいて、対象企業の実態を深く理解し、潜在的なリスクや機会を正確に評価するデューデリジェンス(DD)は、M&A成功の鍵を握る極めて重要なプロセスです。この複雑で専門性の高い業務を円滑に進めるためには、単なる知識だけでなく、その専門性を客観的に証明できる「資格」や、実務に直結する「講座」で培われたスキルがあると良いでしょう。
この記事では、M&A実務の最前線で活躍する専門家の視点から、デューデリジェンス(DD)のプロフェッショナルとして信頼を勝ち取り、キャリアパスを切り拓くために本当に役立つ資格や講座について徹底解説します。
デューデリジェンス(DD)に資格は必須?専門家が語る実態

M&Aにおけるデューデリジェンス(DD)業務は、企業の合併・買収の意思決定において非常に重要なプロセスですが、その大半の業務において、法律で定められた必須の資格は存在しません。たとえば、財務デューデリジェンス(財務DD)や事業デューデリジェンス(事業DD)は、特定の資格がなくても実務に携わることが可能です。ただし、法務デューデリジェンス(法務DD)における法的な意見表明や、税務デューデリジェンス(税務DD)における税務書類の作成など、一部の業務では弁護士や税理士といった国家資格に基づく独占業務があり、これには資格が不可欠となります。
しかし、資格が必須ではない業務においても、多くの実務家が資格取得を目指すのはなぜでしょうか。その理由は、「知識・スキルの体系的な証明」と「依頼者からの信頼獲得」という二つの大きなメリットがあるためです。M&Aの現場では、対象会社の多岐にわたる側面を短期間で深く理解し、潜在的なリスクや機会を正確に評価する能力が求められます。資格は、こうした高度な専門知識と分析能力が身についていることを客観的に示す強力なツールとなります。
つまり、資格は単なる形式的なものではなく、専門家としての市場価値を高め、複雑なM&A案件を成功に導くための基盤となるのです。
知識とスキルの体系的な証明になる
デューデリジェンス(DD)は、「財務」「法務」「税務」「事業」「人事」「IT」といった非常に多岐にわたる専門知識が求められる複雑な業務です。実務では、これら各分野の専門家が連携して調査を進めます。たとえば、財務デューデリジェンス(財務DD)では会計基準や企業価値評価の知識が、法務デューデリジェンス(法務DD)では会社法や民法、知的財産権の知識が必須となります。これらの知識は、自己流やOJTだけでは習得が難しく、断片的な理解に留まりがちです。
資格を取得する過程では、各分野の専門知識が体系的に学習できるため、M&A実務全体を俯瞰し、各デューデリジェンス(DD)領域の繋がりを理解する能力が養われます。これは、単に個別の知識を羅列するだけでなく、それらがM&Aの意思決定にどう影響するかを総合的に判断するための基盤となります。たとえば、公認会計士の資格取得で培われる会計・監査の知識は、財務デューデリジェンス(財務DD)において企業の正常収益力や隠れたリスクを見抜く上で非常に有効です。
このように、資格は、客観的な知識レベルを証明するだけでなく、M&Aにおける複雑な事象を多角的に分析し、解決策を導き出すための思考力を身につける上でも大きなメリットをもたらします。
依頼者からの信頼性が格段に向上する
M&Aは企業の将来を左右する重要な経営判断であり、依頼者である経営者や投資家は、アドバイザーを選定する際に「本当に信頼できる専門家なのか」という点を非常に重視します。彼らは、M&Aという複雑なプロセスにおいて、多額の資金が動く中で、自社の利益を最大限に守り、リスクを最小限に抑えてくれる専門家を求めています。ここで、公認会計士、税理士、弁護士といった国家資格、あるいはM&Aに特化した民間資格が、その専門性と高い倫理観を客観的に示す「信頼の証」として機能します。
資格を持つ専門家は、初対面の依頼者に対しても、その資格が担保する知識と経験を短時間でアピールできます。これにより、依頼者は「この専門家なら安心して任せられる」という安心感を抱きやすくなり、M&A案件の初期段階から円滑なコミュニケーションを築きやすくなります。たとえば、公認会計士の資格があれば、財務デューデリジェンス(財務DD)の専門家として、複雑な会計処理や企業価値評価に関する疑問に的確に答えられるという期待を依頼者は抱きます。
さらに、M&Aの現場では、予期せぬ問題や困難に直面することも少なくありません。そうした状況において、資格に裏打ちされた専門知識と経験は、依頼者との信頼関係を維持し、適切な解決策を提示するための強力な後ろ盾となります。
まずは押さえたい!デューデリジェンス(DD)の主要な種類

デューデリジェンス(DD)とは、M&Aの対象となる企業を深く理解するために行われる多角的な調査の総称です。単一の調査ではなく、「財務」「法務」「税務」「事業」「IT」「人事」といった専門分野ごとに詳細な分析が行われます。これらの調査は、M&Aの意思決定において、対象企業の真の価値や潜在的なリスクを明らかにし、適切な買収価格の算定やM&A後の統合計画を策定するための基盤となります。各デューデリジェンス(DD)は、M&Aの成否を左右する重要な役割を担っており、それぞれの目的を理解することが、効果的なM&Aを実現するための第一歩と言えるでしょう。
財務デューデリジェンス(財務DD)
財務デューデリジェンス(財務DD)は、対象会社の財政状態と収益性に関するリスクを洗い出し、企業価値評価(バリュエーション)の基礎情報を提供する目的で行われます。主な調査項目としては、「正常収益力分析」を通じて企業の実質的な収益力を把握し、「実態純資産の把握」によって貸借対照表に記載されていない資産や負債を明らかにします。
また、「運転資本分析」で事業運営に必要な資金状況を、「ネットデット分析」で実質的な有利子負債を評価します。これらの分析は、対象企業の財務健全性を客観的に評価し、M&A取引における適切な価格設定に不可欠です。一般的に、公認会計士がこの分野の専門家として担当することが多く、その専門知識が欠かせません。
法務デューデリジェンス(法務DD)
法務デューデリジェンス(法務DD)は、対象会社が抱える法的リスクを特定するために実施されます。この調査では、契約関係の適法性や有効性、必要な許認可の取得状況、知的財産権の管理体制、過去および現在の訴訟案件、さらにはコンプライアンス体制の遵守状況などが詳細に検証されます。
目的は、M&Aの実行を阻害する「ディールブレイカー」となるような重大な法的問題や、買収価格に影響を及ぼす可能性のある簿外債務につながり得る法的リスクを特定することです。法務デューデリジェンス(法務DD)は、法律に関する高度な専門知識を要するため、弁護士が担当するのが一般的であり、この領域では弁護士資格が事実上必須となります。
税務デューデリジェンス(税務DD)
税務デューデリジェンス(税務DD)は、対象会社の過去の税務申告内容の妥当性を検証し、将来発生しうる税務リスク、特に追徴課税のリスクを把握することを目的としています。過去の組織再編やグループ法人税制の適用に関連する複雑な税務問題は、M&Aにおいて重要な論点となることが多いです。
また、税務デューデリジェンス(税務DD)の結果を踏まえ、M&Aスキームが税務上どのような影響をもたらすかについても検討されます。これにより、取引に伴う税務メリット・デメリットを把握し、意思決定に必要な情報を整理します。
このような調査を通じて、M&A後の税務負担を適切に見積もり、予期せぬ税務リスクを回避します。税務に関する専門的な知識と経験が必要とされるため、税理士が専門家として担当するのが通常です。
事業・IT・人事デューデリジェンス(事業DD・ITDD・人事DD)
M&Aでは、財務デューデリジェンス(財務DD)・法務デューデリジェンス(法務DD)・税務デューデリジェンス(税務DD)に加え、事業・IT・人事といった側面からも多角的な調査が行われます。
これらのデューデリジェンス(DD)は、対象企業の非財務的な価値やリスクを詳細に分析し、M&Aの成功を左右する重要な要素となります。
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【国家資格編】デューデリジェンス(DD)の土台となる信頼性の高い資格5選

デューデリジェンス(DD)業務において、専門性と信頼性を確保する上で、国家資格は非常に重要な役割を果たします。これらの資格は、法律に基づく独占業務が認められていたり、高度な専門知識の習得を公的に証明するものであったりするため、M&A市場で極めて高い評価を得ています。
例えば、公認会計士や税理士、弁護士といった資格は、それぞれの専門分野におけるデューデリジェンス(DD)において、その知識と経験が不可欠とされています。これらの資格を持つことは、デューデリジェンス(DD)業務における「土台」となり、専門家としてのキャリアを築く上で強力な基盤となります。ここからは、デューデリジェンス(DD)の主要な分野で活躍する、信頼性の高い国家資格を具体的にご紹介していきます。
公認会計士
公認会計士は「会計・監査の唯一の専門家」として、財務デューデリジェンス(財務DD)において最も信頼される資格です。企業の財務諸表を深く分析し、その適正性を評価する能力は、監査業務で培われたものです。この知識は、対象会社の正常な収益力を見極めたり、バランスシートの裏に隠された簿外債務や偶発債務を発見したりする上で欠かせません。
具体的な業務では、企業の会計処理が適切か、収益や費用が実態と乖離していないかなどを精査し、M&Aにおける企業価値評価の基礎となる情報を明確にします。M&Aアドバイザリーファーム(FAS)や監査法人でM&Aに携わりたい場合、公認会計士の資格は非常に有利に働き、キャリアアップのための強力な武器となるでしょう。
税理士
税理士は「税務の専門家」として、税務デューデリジェンス(税務DD)において中心的な役割を担います。過去の税務申告に誤りがないか、租税回避行為のリスクはないかといった点を詳細に検証し、M&A後に追徴課税などの潜在的なリスクが発生しないかを見極めます。具体的には、過去の税務調査内容の確認、申告書の詳細分析、節税スキームの適法性の判断などを行います。
また、M&Aのスキームが税務上どのような影響をもたらすかを分析し、最も税務効率の良いストラクチャーを提案する役割も果たします。特に中小企業のM&Aでは、オーナー経営者の個人的な税務問題が複雑に絡むケースも多く、税理士の専門的な知見がM&Aの成否を分ける重要な要素となることも少なくありません。
弁護士
弁護士は「法律の専門家」として、法務デューデリジェンス(法務DD)に不可欠な資格です。M&Aの対象となる企業の法的リスクを多角的に評価し、M&A実行の障害となる「ディールブレイカー」の有無を明らかにします。契約書のレビューでは、重要な取引先との契約条件、解除条項、損害賠償リスクなどを詳細に確認します。
さらに、事業に必要な許認可の適法性、係争中の訴訟の有無とその影響、知的財産権の管理状況、コンプライアンス体制の実効性なども調査項目に含まれます。弁護士の専門知識は、これらの法的リスクを正確に評価し、M&A契約書の作成や交渉においても中心的な役割を果たすため、M&Aプロセス全体を通じて活躍の場が非常に広いと言えます。
中小企業診断士
中小企業診断士は、経営コンサルタントとしての唯一の国家資格であり、特に事業デューデリジェンス(事業DD)においてその能力を発揮します。財務諸表だけでは見えにくい企業の真の強み、例えば独自の技術力、強力なブランド、優れた組織文化、顧客基盤といった定性的な要素を評価します。
具体的には、市場環境分析、競合他社との比較、対象企業の競争優位性の評価、事業計画の妥当性検証などを通じて、M&A後のシナジー効果や成長戦略の実現可能性を見極めます。特に中小企業のM&Aでは、経営者と対等な立場で事業全体を深く理解し、その将来性を客観的に評価できる点が強みとなり、M&Aの意思決定に不可欠な情報を提供します。
社会保険労務士
社会保険労務士は「人事・労務の専門家」として、人事デューデリジェンス(人事DD)において重要な役割を担います。労働法規の遵守状況をチェックし、就業規則や賃金規定に法的な問題がないか、ハラスメントや残業代未払いなどのリスクがないかを詳細に調査します。
また、退職給付債務や年金制度といった簿外債務のリスク評価も行い、M&A後の人事統合(PMI)における潜在的な課題を洗い出します。キーパーソンの特定や、優秀な人材の流出防止策の検討なども重要な業務です。M&A後の組織再編や人事制度の統合において社会保険労務士の専門知識は不可欠であり、人事領域におけるM&Aの専門家としてキャリアを築く上で有効な資格と言えるでしょう。
【民間資格編】M&A実務に特化したおすすめ資格4選

M&Aの実務に携わる方々の中には、国家資格の取得が難しいと感じる方や、より直接的にM&Aの知識を習得したいと考える方もいらっしゃるでしょう。国家資格とは別に、M&Aの実務知識を体系的に学べる民間資格も数多く存在します。これらの資格は、国家資格と比較して取得難易度が低い傾向にありますが、M&Aの一連のプロセス、関連法規、バリュエーション手法などを効率的に学べるため、実務能力を向上させる上で非常に有用です。
特に、事業会社でM&Aに携わる担当の方や、これからM&A業界を目指す若手にとっては、実務への即応性を高めるための第一歩として、これらの民間資格が大きな価値を持ちます。体系的な知識を身につけることで、M&Aプロジェクトにおける自信を高め、より積極的に貢献できるようになるでしょう。
M&Aエキスパート認定制度
一般社団法人金融財政事情研究会(きんざい)が実施しているM&A関連資格の一つである「事業承継・M&Aエキスパート」は、M&Aに関する基礎知識を体系的に習得したい方に適した資格です。事業承継やM&Aの基本的な概念から、法務・税務、企業評価(バリュエーション)まで、幅広い知識を問う内容となっています。
この資格は、金融機関の職員の方々はもちろん、事業会社でM&Aを担当する方や、将来的にM&A業界を目指す学生の方々など、多様なバックグラウンドを持つ方々を対象としています。特に、M&Aの全体像を短期間で効率的に把握したい初学者にとって、最適な選択肢の一つと言えるでしょう。
M&Aスペシャリスト資格
一般社団法人日本M&Aアドバイザー協会(JMAA)が認定する「M&Aスペシャリスト資格」は、M&Aエキスパートと比べて、よりM&A仲介業務を志向する方向けに、実務に即した知識の習得に重点を置いた資格です。M&A仲介業務に必要な具体的な知識を深く掘り下げており、実務の流れを理解し、現場で活かすための基礎的な実践力を身につけることを目的としています。
この資格は、M&Aアドバイザーとしてのキャリアを目指す方々にとって、M&Aに関する一定の専門知識を有していることを示す一つの指標となります。実務で求められる分析の考え方や交渉に関する基礎知識など、より実務寄りのM&A知見を体系的に身につけたい場合に活用される資格の一つと言えるでしょう。
JMAA認定M&Aアドバイザー(CMA)
「M&Aスペシャリスト資格」を取得した後、より実務寄りの知識や応用力が求められる資格として位置づけられているのが、「JMAA認定M&Aアドバイザー(CMA) 」です。この資格は、所定の研修を受講し、試験に合格することで認定されます。CMAの取得は、M&Aに関する実務的な知識やアドバイザリー業務に必要な考え方を一定水準で身につけていることを示す指標の一つとされています。
M&A業界でアドバイザーとしての専門性を高めたいと考える方にとって、この資格はキャリア形成の一助となる資格です。単なる知識の習得にとどまらず、M&Aプロジェクトの進め方や実務上の論点を体系的に学ぶ内容となっており、取得を通じて自身の専門性をさらに高めることが期待されます。
事業承継士
一般社団法人事業承継協会が認定する「事業承継士」は、M&Aに加えて、親族内承継や従業員承継(EBO)など、幅広い事業承継手法に関する知識を体系的に有していることを示す資格です。この資格を通じて、M&A以外の選択肢も含めた事業承継の考え方を理解し、企業オーナーの多様なニーズに対応するための知識基盤を身につけることができます。
特に、後継者不在に悩む中小企業の事業承継支援においては、こうした幅広い承継手法への理解が重要とされており、事業承継士はその知識を活かして、会社の存続と発展に向けた事業承継プランを多角的な視点から検討・提案する際の一助となる資格と言えるでしょう。
【実践講座編】明日から使えるスキルが身につく講座の選び方

資格取得は専門知識の体系的な証明として非常に重要ですが、M&Aのデューデリジェンス(DD)実務においては、座学だけでは得られない具体的なスキルやノウハウが不可欠です。ここでは、資格取得と並行して、あるいは資格取得後のさらなるステップとして、実務に直結するスキルを身につけるための「実践講座」の選び方について詳しく解説します。
講座選びで失敗しないための3つのポイント
M&Aのデューデリジェンス(DD)実践講座を選ぶ際には、単に知識を得るだけでなく、その知識をいかに実務で活かせるかが重要になります。そのためには、講座の内容や形式を慎重に吟味する必要があります。ここでは、講座選びで失敗しないための特に重要な3つのポイントをご紹介します。
▶︎ポイント1

デューデリジェンス(DD)の実践講座を選ぶ上で最も重要なポイントの一つは、講師がM&Aの第一線で活躍してきた「実務家」であるか、そして「ケーススタディ」が豊富に含まれているかという点です。M&Aの現場は常に変化しており、机上の理論だけでは対応できない予測不能な事態が発生します。
そのため、現役のM&Aアドバイザーや専門家が講師を務める講座では、彼らが実際に経験したリアルな案件に基づいたケーススタディや、模擬デューデリジェンス(DD)の演習を通じて、生きた知識と実践的な問題解決能力を養えます。理論を具体的な事例に落とし込み、現場で起こりうる予期せぬ問題への対処法を学ぶことで、書籍や一般的なセミナーでは得られない深い洞察力と応用力が身につきます。
このような講座は、単なる知識の伝達に留まらず、実務で直面するであろう課題に対する考え方やアプローチ方法を習得できるため、受講価値が非常に高いと言えるでしょう。
▶︎ポイント2

学習効果を実務に直結させるためには、講座で得た知識を形として業務に落とし込むことが重要です。その際に非常に役立つのが、デューデリジェンス(DD)に必要な「テンプレートやツール」の提供があるかです。
質の高い実践講座では、デューデリジェンス(DD)のチェックリスト、対象会社への質問状(Q&Aリスト)、そして最終的な報告書の雛形など、すぐに業務で使える実用的なツールが提供されることが多くあります。これらのテンプレートを活用することで、デューデリジェンス(DD)業務の品質を標準化し、効率を大幅に向上させることができます。
また、ゼロから書類を作成する手間が省けるため、本来集中すべきリスク分析や戦略立案に時間を割けるようになります。これは、実務での失敗を避け、再現性のある高いクオリティを求める方にとって、まさに「喉から手が出るほど欲しい」内容であり、講座選びにおける重要な判断基準となります。
▶︎ポイント3

講座選びにおいて、カリキュラム内容や講師の質と同様に、実は非常に重要な要素となるのが「同じ志を持つ受講生とのネットワーク」です。講座に参加することは、単に講師から知識を得るだけでなく、同じ目標を持つ他の受講生や、場合によっては講師との間に繋がりを築く貴重な機会となります。
このようなネットワークからは、M&A業界の最新情報、未公開の転職情報、あるいは将来的な協業の可能性など、学習内容以上の価値がもたらされることがあります。特に、多様なバックグラウンドを持つ参加者が集まる講座では、自分にはない視点や経験に触れることができ、多角的な視野を養えるのです。
疑問点や課題を共有し、共に学びを深める仲間との出会いは、あなたのM&Aキャリアを力強く後押ししてくれるでしょう。
おすすめのオンライン講座・短期集中セミナー例
これまでの講座選びのポイントを踏まえ、ご自身の目的や現在の状況に合わせた最適な講座を見つけるためのヒントとして、具体的な講座の例を分野別にいくつかご紹介します。
・収益力/運転資本
・DDの全体像
・時間/場所自由
まず、特定の分野に特化して深く学びたい方には、「財務デューデリジェンス(財務DD)特化型講座」がおすすめです。これは公認会計士が講師を務めることが多く、企業の正常収益力分析や運転資本分析など、財務デューデリジェンス(財務DD)の中核となるスキルを短期間で集中的に習得できます。
次に、M&Aプロセス全体を俯瞰的に学びたい方には、「M&Aプロセス全体を学ぶ講座」が良いでしょう。これはM&Aの企画段階からクロージング後のPMI(経営統合)までを一貫して学ぶことができ、各DDの位置づけや相互関連性を理解するのに役立ちます。
また、時間や場所に制約がある方には「オンライン完結型講座」が非常に有効です。近年のM&Aニーズの高まりを受け、様々なM&A関連団体やビジネススクールがオンライン講座を提供しており、動画コンテンツやオンラインでの質疑応答を通じて、自宅や職場のPCからでも質の高い学習が可能です。
あなたのキャリアに最適な資格・講座の選び方

これまでデューデリジェンス(DD)の主要な種類、そしてそれぞれの分野で信頼性を高める国家資格や、M&A実務に特化した民間資格、さらには実践的なスキルを習得するための講座についてご紹介してきました。ここからは、これらの豊富な選択肢の中から、皆さま一人ひとりのキャリアパスや現在の立場に合わせた最適な資格・講座の組み合わせ方をご提案します。
ケース1:事業会社の企画・財務担当者の場合
事業会社の企画や財務部門でM&Aに携わる方が、まずM&Aの全体像を把握し、基礎知識を体系的に身につけたい場合には、「M&Aエキスパート認定制度」のような民間資格の取得から始めることをお勧めします。これにより、M&Aの一連の流れや専門用語、基本的な評価手法などを効率的に学ぶことができます。
次に、より実践的なスキルとして、財務デューデリジェンス(財務DD)や事業デューデリジェンス(事業DD)に特化した短期集中講座やオンラインセミナーの受講を検討しましょう。実際のデューデリジェンス(DD)案件を想定したケーススタディや、質問状、報告書のテンプレート提供などがある講座を選ぶことで、学んだ知識を即座に実務に適用できる力が養われます。
さらに長期的な視点では、社内でのM&A専門家としての地位を確立し、より高度な案件をリードするためには、中小企業診断士や公認会計士といった国家資格の取得を目指すことも有効です。
ケース2:M&AアドバイザリーやFASへの転職を目指す場合
M&Aアドバイザリーファーム(FAS)やM&A仲介会社など、M&A業界の専門職への転職を目指す場合、公認会計士やUSCPA(米国公認会計士)といった会計系の国家資格は非常に強力な武器となります。これらの資格は、財務分析や企業価値評価に関する深い知識とスキルを客観的に証明するため、採用において高く評価される傾向にあります。特にFASでは財務デューデリジェンス(財務DD)を担うケースが多く、公認会計士資格は実務上高く評価される資格の一つです。
もし現時点でこれらの国家資格がない場合は、まずはM&A仲介会社などで実務経験を積みながら、M&AスペシャリストやJMAA認定M&Aアドバイザーなどの民間資格を取得し、専門性をアピールする戦略も有効です。実務経験と組み合わせることで、資格が持つ意味合いはさらに大きくなります。
ケース3:特定分野(人事・法務など)の専門家として関わる場合
既に弁護士や社会保険労務士、税理士といった特定の専門分野で国家資格をお持ちの方が、M&A領域でさらに活躍の幅を広げたいと考える場合、まずはご自身の専門分野である法務デューデリジェンス(法務DD)や人事デューデリジェンス(人事DD)などを軸にM&A案件に関わっていくことが一般的です。その上で、M&Aプロセス全体の知識を補い、M&A案件における自身の役割をより明確にするために、M&A関連の民間資格や総合的なM&A講座の受講が非常に有効です。
例えば、弁護士であれば「M&Aエキスパート認定制度」で財務や税務の基礎知識を習得することで、M&A契約交渉において、より多角的な視点からクライアントをサポートできるようになります。社会保険労務士であれば、M&Aプロセス全体の理解を深めることで、人事デューデリジェンス(人事DD)の結果をM&AスキームやPMI(Post Merger Integration:M&A後の統合プロセス)にどう反映させるかといった戦略的な提案が可能になります。
このように、自身の専門性にM&Aの知識をクロスさせることで、単なる分野の専門家から「M&Aに強い専門家」へと付加価値を高め、M&A市場での希少性を高められるでしょう。
まとめ:専門性を高め、信頼されるデューデリジェンス(DD)のプロフェッショナルへ

ここまで、M&Aにおけるデューデリジェンス(DD)業務で活躍するための資格や実践的な講座について解説してきました。デューデリジェンス業務そのものに法律で定められた必須資格は少ないものの、専門性を体系的に証明し、依頼者からの信頼を獲得する上で、資格や専門知識の習得は非常に有効なツールとなります。
キャリアステージに応じた資格・講座の戦略的な選び方
この記事でご紹介した国家資格や民間資格、そして実践講座は、それぞれ異なる強みと目的を持っています。ご自身の現在のキャリアステージ、M&A業務への関わり方、そして将来目指す方向性に応じて、これらの選択肢を戦略的に組み合わせることが重要です。例えば、事業会社の企画・財務担当者であれば、M&Aの全体像を把握できる民間資格から始め、特定のデューデリジェンス(DD)分野のスキルを深める実践講座へとステップアップしていくことが考えられます。
知識とスキルを身につけ、それを客観的に証明できる資格や経験は、あなたの市場価値を大きく高め、M&Aのプロフェッショナルとして信頼される存在へと導いてくれるでしょう。